保育方針

 原宿幼稚園は認可幼稚園ですから、学校教育法に基づく「幼稚園教育要領」に拠る保育を行っています。また、建学の精神として「キリスト教保育」が保育の中心に据えられています。
 「キリスト教保育」という言葉は聞き慣れないかもしれませんが、日本の教育の源流はすべてヨーロッパから入りました。明治期に使節団がヨーロッパ諸外国を訪問するのですが、あらかじめ視察するべきポイントを助言したのはキリスト教の宣教師たちでした。ですから幼稚園制度とは、元来キリスト教主義教育に根ざし、幼稚園や保育所、小学校、中学校の教育の根幹となりました。見えない神の存在とお祈りを除いたのが、公立学校教育だと言えます。
 幼稚園教育の意義とは、「見えるものすべてが新しい幼児期」に、いかに自分で考え、自分の創造性を育んでいくか、どのようにまわりの人々と関わっていくか、そうした子どもの主体性を保育者が見守ることと考えています。
 近年、国が「幼児期の終わりまでに育ってほしい10の姿」という指針を発表しました。これは「非認知能力」(学力と異なり、数値化できない心の資質)とも言われますが、「キリスト教保育」では100年以上ずっと大切に培ってきた事柄です。
 子どもが生きる上で(親も含め)、上ばかりを目指していてもどうにもならない時があるのではないでしょうか。そうした時、まわりに助けを求めることができる人間に成長しているか。さらに言えば、助けてもらった経験を持つからこそ、誰かのことを本当に見つめて手を差し伸べることができるのではないか。そうした関わりの中に、本園の保育が、ひいては幼稚園教育の意義があるのだと信じています。